7月までに公開された論文

Yamada, K., Igarashi, G., Osawa, N., Kiran, R., Haga, K., Tomita, S. and Maruyama, I., (2021). "Experimental Study Investigating the Effects of Concrete Conditions on the Penetration Behaviors of Cs and Sr at Low Concentration Ranges." Journal of Advanced Concrete Technology, 19(6), 756–770.

文部科学省英知事業で、福島第一発電所の廃炉に関する基礎研究として、コンクリート中のセシウム、ストロンチウムの基礎的研究を行いました。特に濃度の低い部分の挙動をRIとイメージングプレートを使って分析した結果を示しており、いくつかの基礎的で重要なデータを報告しています。

Kojima, M., Kodama, T., Jin, C. and Maruyama, I., (2021). "Benchmark Finite Element Calculations for ASCET Phase III on a Reinforced-Concrete Shear Wall Affected by Alkali-Aggregate Reaction." Journal of Advanced Concrete Technology, 19(4), 280–300.

原子力規制庁で行ったアルカリ骨材反応の影響を受けた鉄筋コンクリート部材の性能評価に関するOECDプロジェクトのベンチマーク解析結果を報告したものです。2次元vs3次元の比較のほか、ASRを考慮するときの留意点などを細かく報告しています。

Cheng, L., Maruyama, I. and Ren, Y., (2021). "Novel Accelerated Test Method for RH Dependency of Steel Corrosion in Carbonated Mortar." Journal of Advanced Concrete Technology, 19(3), 207–215.

こちらは東大の方で丸山が行っている研究ですが、中性化した領域での鉄筋腐食速度を支配する要因について検討したもので、含水率、湿度依存性を実験的に取得する新しい実験法についてとりまとめました。

Rahoui, H., Maruyama, I., Vandamme, M., Pereira, J.-M. and Mosquet, M., (2021). "Impact of an SRA (hexylene glycol) on irreversible drying shrinkage and pore solution properties of cement pastes." Cement and Concrete Research, 143, 106227.

こちらは、以前、Ecole de Ponts ParisTech、LafargeHolcimと共同研究を行った結果を報告した第一弾で、収縮低減剤が非回復性収縮ひずみに及ぼす影響を示したものです。特に、11%RHで乾燥させたときの回復性ひずみと収縮低減剤をもちいたときの回復性ひずみがほぼ同一になることを発見しました。

Satya, P., Asai, T., Teshigawara, M., Hibino, Y. and Maruyama, I., (2021). "Impact of Drying on Structural Performance of Reinforced Concrete Beam with Slab." Materials, 14(8), 1887.

スラブ付き梁について、乾燥の有無をパラメータにして、乾燥が構造に及ぼす影響について検討した世界で初めての事例です。

Maruyama, I., Kishi, N. and Aili, A., (2021). "The Relative Humidity Range for the Development of Irreversible Shrinkage in Hardened Cement Paste" Journal of Advanced Concrete Technology, 19(June), 585–592.

こちらは、コンクリートが可能したときに生ずる非回復性のひずみが、一体どの程度の乾燥度合いから生じるのか、を明らかにした世界で初めての論文です。

Samouh, H., Nishimoto, S., Yoshida, H., Sawada, S., Kontani, O., Suzuki, K. and Maruyama, I., (2021). "Modal Analysis of Rock Forming Minerals : Contribution of XRD / Rietveld Analysis Compared to the Classic Point Counting Method." Journal of Advanced Concrete Technology, 19(May), 395–413.

骨材は、コンクリートの70%程度を締めますが、そのコンクリートの物性は鉱物組成に大きく支配されています。従来、偏光顕微鏡観察によるポイントカウンティングで相組成(モーダルアナリシス)が行われてきましたが、X線回折リートベルト法でもかなり良い結果が得られることを示しました。

Sasano, H. and Maruyama, I., (2021). "Mechanism of drying-induced change in the physical properties of concrete: A mesoscale simulation study." Cement and Concrete Research, 143, 106401.

乾燥はコンクリートのヤング率を低下させたり、他の物性を変化させたりしますが、その影響メカニズムを定量的に把握することは実験的に難しい課題でした。今回、剛体バネモデルによってコンクリートをモデル化し、強度の変化をモルタルの物性変化と骨材周りに生ずるひび割れの影響の2つを定量評価し、骨材の収縮などもパラメータにして、なぜいままで乾燥によって強度が大きくなったり、小さくなったりして、統一的見解が得られなかったのかを数値解析的に証明しました。